気の毒な米友は、この騒ぎのうちに隠ヶ岡から地獄谷へ突き落されてしまい、役人も非人《ひにん》も刑の執行を済まして、今ゾロゾロと山を下って帰って来るところであります。

「こん畜生、狂犬《やまいぬ》だな」 七兵衛は合羽へ食いついた犬の首を抱えるようにして、力任せに後ろへ取って捨てる、痩せて弱っていた猛犬は七兵衛に後ろへ取って捨てられて※[#「てへん+堂」、第4水準2-13-41]《どう》と倒れたが、クルリと起き上って、二三歩退いて両足を前に合せて、そうしてじっと七...

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七兵衛が少しく身をかわしたから、ムクの歯は七兵衛の肉へは透《とお》らないで、七兵衛の合羽《かっぱ》の上を食い破ってしまいました。

「左様でございますかね」「あいつも根は正直者なんですが、ひょいとした出来心であんなことをしてしまったのでしょう、かわいそうといえばかわいそうですよ」「それは気の毒なことをしました、どうも大きに有難う」 七兵衛はこれだけの話を聞いて、なんと思ったか、来かかった道を逆に帰って、米友のあとを追うて、...

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拝田村の芸人がたくさん集まって、あの男の命乞いをするといって騒いでいるそうでございますが、もうこうなってはお取上げになりますまいよ」

「は――て」「こちらは御神領でございますからお仕置にも血を見せないようにして、それで隠ヶ岡から下へ突き落すのでございます」「は――て」 七兵衛は過ぎて行く米友の後ろ影を伸び上って見ていましたが、「そいつは困ったことが出来た」「何でございます」「いえナニ、白状しないものをお仕置にかけて、も...

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